2015年02月

脚本:丸戸史明 絵コンテ:こでらかつゆき 演出:徳本善信 作画監督:清水博幸

原作範囲:第3巻プロローグ~第2章、FD第1.5話

 もう死んでもいい。そう思える神回でした。

 というのも、エピソードの内容/尺的にも絶対映像化しないだろうと感じていた『冴えない彼女の育てかたFD』収録の第1.5話「食えない彼女のおだてかた」が映像化されたのです。僕が2月15日の記事で「完璧ですね。しかもエロ同人作家で、オナ〇ーとか淫語をどんどん繰り出します。かわいいえりりんがそんなことを言うなんてすばらしいですね。たぶんアニメ版、もとい大西沙織さんがこのセリフを言う機会は来ないと思いますので、富士見ファンタジア文庫より刊行されています『冴えない彼女の育てかたFD』のご購入をオススメします」と書いている通り映像化しないと踏んでいた大好きなエピソードが映像化されたのです。しかも、『あの雪のプリズム』のビジュアルまでついて!

 正確に言うと『あの雪のプリズム』ですが、過去に一度明確でないもののビジュアル化はされています。詳しく言うならば英梨々ルートコミカライズである『冴えない彼女の育てかた ~egoistic-lily~』第2巻17ページ。ここでは倫理君のナレーションと共にこう語られます。

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 あ、ぼやけてるのは自分のスキャナーでスキャンしたので勘弁してください。……あれ、この倫理君の後ろに描かれている二人、見覚え有りますね。あれ……? ですが、アニメ版で描かれるのは『あの日見た花の名前を僕たちはまだ知らない。』のようなタイトルロゴと『あの夏で待ってる』のようなキャラクターたち。まぁ、嫌いじゃないですけどそれを期待してはいなかったんだ……(まぁ、このコマのキャラクターをアニメ化する権利はキングレコードにあるので仕方がないのかもしれませんけども)。

 そして、その『あの雪のプリズム』を英梨々が知った要因は倫理君――TAKIのブログ。「知ってる。もともとあんたのブログで知ったんだもん」というセリフから解るように、倫理君と断絶の時代があったときにも英梨々は恋心を実らせ続けていたということです。つまり、どこぞのTAKI君が霞詩子とか言う作家にうつつを抜かしているときにもブログは確認していたということで。これ以上書くと『冴えない彼女の育てかたGirls Side』のネタバレになりそうだから発売後一ヶ月までは伏せます。それにしても幼馴染ヒロインを挙げるあたり流石ですね。

 他にも第7話は素晴らしいポイントが多かったです。例えば倫理君のセリフ「リアル妹はいろいろな方向に物議を醸すから今は止めといた方がいいんだよ」にはアニプレックス作品ということもあり『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のあの終幕を連想したり。他にも「滑り台ヒロイン」や「なんだかな~」、紅坂朱音、波島伊織など重要ワードが連続していてよく纏まったな、と。

 次話が凄く気になりますが、まぁ第3巻のラストはえりりんが全てを持っていくので、3/7の先行上映は行きます、ハイ。よろしくお願いします。

 

 『ツイッターってラジオだ!』より数年ぶりにニッポン放送吉田尚記アナウンサーの単著が刊行された。今回はコミュ障と呼ばれている人間がいかに喋れるようになったか、という経験に基づきながらコミュニケーションについて考える、という内容のニコ生を文字起こししたものだ。*1

 本題にシフトしてみるが、コミュ障について、この本で一番共感できたのは「空気ばかり気にしてしまう自分がいる」ということだし、加えて「目立ちたいけど目立ちたくない」という所だったりする。僕自身そういう人間なので、Ustreamを毎週やっている現在でもゲストやコメントに結構頼っている面があるし、一人語りが出来ない。何故なら一人語りでコメントが来ない状況はただの呟き/独り言に過ぎないのだから何を話していいのか解らなくなるからだ。もし、そこで今自分が一番気になっていることを話してみたところで相手に通じる/相手が興味を持つとは限らないし、その可能性は低いのだから何を話していいのか解らなくなるのだ。実際、2/19に行った「羽海野渉のものぐさラジオ。」第4回においてゲストが退席してから30分間一人語りと称して放送したのだが、何を話していいのか解らず同じことばかり話した覚えがある。何より反応が返ってこないことが恐ろしく、「今、視聴者数6人ってなってんのに何で誰もコメントしてくんねーんだよ!」と内心思っていた。

 閑話休題。最近の実感として今の日本人は全員お笑い芸人になろうとしているように思える。ツッコミ待ちでボケをどんな場所でもかます。それが「空気を読め」という難問を強いている状況を設定しているように思えてならない。そこをどうしたら崩す/突破口を見出すことが出来るのか、というのがコミュ障にとっての最重要課題であり超難関な壁でもある。今回の吉田アナの本では「コミュニケーションはゲーム」としているのだが、そこに関してはその「日本国民総芸人化」という状況設定を単に言い換えているだけで突破口を見出すという方向に動いている。この状況は容易に崩すことはできないのだろうけど、そもそもこの状況が設定/構築されたことがコミュニケーション障害=コミュ障なる言葉を作り上げる要因になったのだろう。

 さて、そんな『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』の内容について僕とヒサゴプランさんという二人のコミュ障が明日2/26 23:00~Ustreamで語り合います。今回の記事は半ばそのための備忘録。よろしくお願いします。

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

なぜ、この人と話をすると楽になるのか

一億総ツッコミ時代 (星海社新書)

一億総ツッコミ時代 (星海社新書)

  • 作者:槙田雄司
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2012/09/26
  • メディア:新書

*1:このニコ生「コミュ障の私よ、さようなら」は数回観た記憶がある

 旧世紀に使用された汎用人型作業機・レイバーが過去のものとなった2013年、今尚存続する警視庁のレイバー部隊である第二小隊の三代目は無能と呼ばれお台場の僻地で勤務していた。彼らは初代から受け継がれた「AV-98式・イングラム」に搭乗し、レイバー亡き時代の犯罪や事件に立ち向かっていく。

 押井守総監督が自らメガホンを取ってパトレイバーを現代にリライトするという企画で、実際に実機を制作するという無茶を仕出かしたと知っていたので初代第二小隊を観ているものとして興味を持ち鑑賞しました。

 第一章はエピソード0とエピソード1の2編で構成されていて、エピソード0「栄光の特車二課」は整備班長・チバシゲオの目線から初代や二代目(一言触れただけだけれども)と三代目の比較をしながら現状の第二小隊を説明するという、まぁ正直必要ないけどチバシゲオくらいしか初代からの繋がりはないから仕方ないね、なフィルムになっていました。とはいえチバシゲオ役を千葉繁さんが続けて演じるのは嬉しいものです。
 で、続いてエピソード1「三代目出動せよ!」では三代目が宿直を行いながら誤報ばかりの中で今の仕事についてどういう認識を持って働いているか、という云わばプロローグ的構成になっていて、いかに無能の三代目が無能たるや、ということを押井総監督が自ら監督脚本を担当することで上手く描き切っている印象を受けました。キャラクターも初代を踏襲しながら、俳優が演じることで更に人間味が増し、レイバー犯罪というものが「旧世紀から見た未来」だった初代、「追いついてしまった過去から見たフィクションの未来」たる二代目、「未来を追い越した現代」を描いた三代目にしてリアルな未来を描くことに成功している、と感じました。要するに三池崇史監督の『ケータイ捜査官7』に似た想定未来を現代劇に押し込めたフィクションになっていて、イヤにメッセージを詰め込んだ『機動警察パトレイバー THE MOVIE』や『機動警察パトレイバー2 the MOVIE』みたいな初代の作品から異なった作品感を受けます(もちろんオススメするほどに初代の作品も好きですけどね?)。そして、何より立喰という要素がこれでもか、と描かれる本作。それでこそ押井だな!と個人的には絶賛です。
 まだこのシリーズは始まったばかりなので、GWに公開される長編劇場版の前には全作観たいと思っています。現時点ではこれくらいに控えて。

 2012年夏に東京湾北部を震源とするマグニチュード8.0の地震が発生したことを想定して、発生当時お台場にいた姉弟と出会った女性の3人が自宅のある世田谷・三軒茶屋を目指すシュミレーション作品。2009年にフジテレビ「ノイタミナ」で放送され、2011年の東日本大震災当時にアニマックスで放送されていたが打ち切られていて、震災後に生きる僕らにも非常にためになるしドラマとしても深い作品に仕上がっていた。元々興味はあったのだが未見で、先日加入した「アニメ放題」にてこの作品が配信されていたので視聴した。

 冒頭のケンカ状態にあった姉弟が地震が発生し、姉が第一に弟の安否を心配するという展開であったり、家族不仲状態から地震を経て再び集結するという展開がベタでありながら丁寧に描かれていた。また、伏線の張り方も上手く、分かりやすくも深いというジュブナイル小説に似た印象を受ける。発生当時にお台場のアクアシティいた姉が発生後に観た風景のなかに自由の女神やレインボーブリッジが存在したり、中盤で登場する東京タワーなど、自由や希望の象徴が倒されることによって絶望的な状況を印象付けたり、有名なスポットを破壊することで、この想定下の東京がいかに悲惨な状況かと分かりやすくしている気もした。
 ただ、消化不良といえばロボットオタクの件だろう。というか、マリさん含めた後日談部分が尺として少なく、あと数分は尺を要していた。姉が主人公であるので弟の今を受け入れることも必要ではあるだろうが、弟が地震後に出会ったもの・人の代表である彼が(描写としては存在するが)もっと後日談に登場して欲しかった。
 橘監督作品を視聴するのは『ばらかもん』に続いて2作目となるが、どちらも丁寧に人間ドラマを描いていて、本作も丁寧に心理描写を描いていた。制作のキネマシトラスは『ゆゆ式』や前述の『ばらかもん』などを制作しているが、(個人的には好きだが)売れなさそうな質アニメを作っていて、やはり独立1作目の本作もそれだった。好きだけど。共同制作のボンズは独立元でもあるし、地震による建物崩壊のエフェクトなどノウハウが受け継がれていたように思える。
 また、オープニング主題歌もabingdom boys schoolと強力で、物語に寄り添いつつも力強く希望を与えるその楽曲は絶賛に値する。
 今、僕らは何を知ってどう生きるべきか。東日本大震災を経た現代に生きる僕たちが、震災以前に想定された本作を観てそう感じることが可能な名作。放送当時とは意図が異なるかもしれないが、名作であることに変わりはないと信じている。

脚本:丸戸史明 絵コンテ:亀井幹太 演出:川越崇弘 作画監督:吉井弘幸

原作範囲:第2巻第6章~エピローグ

 泣きました。二回観て二回泣きました。

 というのも、一度でも創作に手を出した生産型オタクならこの話数で語られるクリエイター魂というかクリエイターの意地は嫌になるほど理解できるから。僕も同人シナリオライターのはしくれですが、この話数の霞詩子先生とTAKI君が交わす言霊の応酬は「うんうん」と頷くことしか出来ませんでした。

 ほら、僕がノイタミナショップの先行上映会でこれを前のめりになって観た意味解るでしょ!? いくらえりりんが好きで、えりりんがCパートしか出ていないとしてもこの話数は素晴らしいし泣ける感動回に仕上がっている。それだけは間違いありません。

 さて、この話数、僕は何も考えることが出来ずに24分×2回の時間を過ごしました。それは一重に情報量と感動が映像として一気に押し寄せるわけですから半ば当然なんですけれど、そんな作品に挿入曲として「饒舌スキャンダラス」をインストで入れてくる……。そんな素晴らしいフィルムなので、何も考えられずただ凄い面白い泣けるとしか言えない状況が続いています。

 まぁ、それに加えて今日発売の『冴えない彼女の育てかた Girls Side』の影響もあるのですけど、もう僕は冴えカノもとい丸戸史明なしでは生きていけないようです。いや、マジメに。ついさっき読み終わって今は虚無感と叫びたい感情に襲われています。発売から一ヶ月くらい経ったらたぶんUSTで話しますけど、もうヤバイですよ、それを読んだ後だとこのフィルムは直視できない。何故なら禁則事項だから……。

 そして、来週からは原作第3巻突入ということで、波島出海ちゃん登場です。はしまです。なみしまじゃない。演じるのは亀井監督作品でもある『俺の彼女と幼馴染が修羅場すぎる』でも出演していた赤﨑千夏さん。今作も快演期待しています。

 あ、あとこの第6話に関してはえりりんえりりんとは言わない。言えない。もう黒ストの霞詩子を括目して観よ、としか言えない。だってあれは反則でしょ!? どう考えたってABパートで霞詩子、Cパートで加藤恵だろ!? 酷いよ丸戸さん(褒め言葉)。

 ……いや、もうマジで冴えカノ放送終わったらロスになりそうですね……。とりあえず近いうちに『GS』の話します。

冴えない彼女の育てかた キャラクターイメージソング 霞ヶ丘詩羽

冴えない彼女の育てかた キャラクターイメージソング 霞ヶ丘詩羽

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